会社が潰れてしまう原因は様々です。
しかし共通していることが一つだけあります。

それは「想定外の事態が生じてしまう」ということです。

「来年の夏に主要取引先が倒産して、売掛が回収できなくなり、
 秋頃資金繰りが悪化して、冬に倒産する予定」


なんていう予測を事前にたてられる経営者の方はいません。

経営リスクはつきものです。
ただそのリスク事前の対策で最小限に抑えなければなりません。

今回ご説明する経営のリスク管理を確認して、リスクの最小化と防止を徹底していきましょう。

一般的な経営リスクとは?

今回は一般的な経営リスク4つについて対策をご説明していきたいと思います。

①代金回収不能
②在庫リスク
③人的リスク
④資産リスク

経営リスク①「代金回収不能」

商品を提供したのに、その代金が回収できない(貸倒)というのは最悪の事態です。
絶対に避けたいところですが、ある程度の貸倒はコストとして仕方のないところです。

ただ金額の大きな「決定的な貸倒」絶対に回避しなければなりません。

大きな貸倒に繋がるケースの詳しい説明と対応策を順番にみていきましょう。

(1)大量の注文をうける

営業マンにとって大量注文は嬉しいことです。
売上があがり代金も回収できれば問題ありませんが「突然の大量注文」には注意が必要です。

「代金が回収出来ない可能性」があるからです。

新規取引先であればなおさらですが、得意先業者についても同様です。
得意先から今まで来なかった注文が突然来るようになった場合などは、
信用問題で他との取引ができなくなっている可能性などがあるからです。

「突然の大量注文」が入ったときはぬか喜びせずに、
原因や事実関係などを精査してその相手先などに注意を払う必要があります。

(2)入金管理が甘い

これはすでに取引をしている得意先との関係です。

・入金が少しずつ遅れ始めている
・全く入金されていない

なのに、その後の注文にも普通に応じているケースが見受けられます。

入金がないのに納品を続ければ、あっという間に売掛残高は大きくなります。

入金が約束通りにされているかどうか」
は、とても重要な信用問題です。
入金が約束通りにされていない場合などは、出荷停止などの対応を検討します。

・入金のチェックは面倒でもしっかり行う
・問題がある場合は早めの適切な対応をする


傷は浅いうちに手をうつ必要があります。
そうすれば損失は最小限に抑えられます。

(3)詐欺業者との取引

これは基本的に取引してはいけない業者との取引となります。

最初は現金払いであったり、少額であったりしますが、徐々に高額・大量注文となり信用取引を開始した瞬間にドロンします。

取引開始時には、
信用調査
業界の評判
などを確認して、怪しい業者との信用取引は一切行わないようにしましょう。

経営リスク②「在庫リスク」

業績が良かった会社の経営が突然傾く主な原因の一つは、
在庫の価値が無くなってしまうことです。

「在庫」とは、
今後販売する予定の商品や製品で、倉庫や工場に保管されているものです。

今後販売しようとして仕入れた商品や製造した製品が、ある日突然無価値となってしまえば、経営への大きな打撃となります。
場合によっては会社が倒産してしまうこともあり得ます。

「ある日突然、大量の在庫が無価値となる」

このような恐ろしい状況は絶対に避けなければなりません。
ではどのように注意すべきか具体的にみていきましょう。

(1)過剰在庫

まず絶対的に最重要な事は、
「なるべく無駄な在庫を抱えないこと」です。

「在庫=お金」

これは使い古された言葉ですが、とても大事な言葉です。
商売をするために在庫は必要です。

しかし「過剰在庫」は、
リスクを増大させて資金繰りを圧迫することになります。

・自社が商売をするための適正な在庫を管理する
・過剰在庫となっている場合には原因を究明し、一刻も早い対処をする

まずは過剰在庫に注意をしてみてください。

(2)大量注文

ここからは過剰在庫になる原因の主なものについて説明します。

まずは「根拠なき大量注文」です。
得意先から取引増加の打診を受けてそれに対応する場合などに生じます。

得意先から
「もっと納期を早くして欲しい」
「事前に商品を準備しておいてほしい」

などという打診を受けることがよくあります。

このような場合に
自社の許容範囲を超えた大量注文などを行うと大変なことになります。

順調に取引が続けば問題ないですが、
・突然契約を打ち切られたり
・来るはずだった注文が来なくなったり

ということは、結構な確率で起こり得ます。

曖昧でありかつ根拠のない打診があった場合には、慎重な対応が求められます。
喜び勇んで大量生産・大量発注してしまわないよう注意が必要です。

(3)需給バランス

需給バランスの読み間違えや狂いなどにより
大量の在庫が発生してしまうことがあります。

「季節商品を仕入れたが気温の変化が乏しく、売上が振るわなかった」

ということはよくあることかと思います。
外部要因により予定の売上が上がらないケースは度々発生する可能性があります。

売上不振だけならまだしも、在庫まで価値を失ってしまっては
経営への打撃は計り知れません。

少しでも在庫リスクを減らすために
・1回の仕入ロットを予想より少なめに設定する
・売れなかった場合の処理方法などを考慮したうえで仕入などを行う
必要があります。

どのケースにおいても大量の在庫を抱えてしまう可能性がありそうな場合には
一度取引全体を考え直す必要があります。

大量発注をする場合には、絶対に注意していただきたいものです。

経営リスク③「人的リスク」

会社や事業を拡大していくためには、人員が必要になります。
自分一人や外注だけで拡大する方法もありますが、
従業員の増加によるのが最も一般的なのではないでしょうか。

従業員を雇用する場合におけるリスクについて説明したいと思います。

(1)固定費増加

人件費は、ほとんどの場合固定費となります。

固定費とは、
「売上の変動に連動しない経費」です。

売上がいくら増えても負担が増えない反面、
売上がゼロでも負担が発生します

上手にコントロールできれば経営に大きなプラスとなりますが、
その逆の場合大きな損失を生んでしまいます。

また給料だけでなく、
・社会保険料の負担
・その他の間接人件費
・備品類や営業経費

などの増加も発生します。

単純なリスクですが、大きく業績に反映する部分でもあります。
経費だけを増やそうとして従業員を雇うことはないと思いますが、結果としてそうなってしまっていることは結構あります。

人員が増加したら、それがどのように会社の業績に貢献しているのかしっかりチェックする必要があります。

(2)法的リスク

最近は、
セクハラ・パワハラ・有給・未払い残業代・過労死
など従業員を取り巻く様々なトラブルが問題になっています。

こういった問題が発生すれば、会社は対応を迫られます。
法令遵守はとても大事なことです。
しかし過度の法令遵守は企業にとって大きなリスクとなっています。

また従業員自身が犯罪や事故を起こすケースもあります。

法律違反をしない経営をすることは当然ですが、そのようなことが起きないような防止策も必要になってきます。

主な人的リスクはこの2つに集約されますが、
その他にも様々な問題は生じます。

人を沢山雇用できることは、社会にとって素晴らしいことです。
従業員数が増えたり規模が拡大することは、経営者にとって誇らしいことです。

ただその裏には様々なリスクが潜んでいます。
そのリスクの部分をしっかり認識して万全の体制で経営に臨みたいものです。

経営リスク④「資産リスク」

資産」とは文字通り「資金を産み出すもの」です。

会社にとって「資産」は様々ですが、一般的な財産だけでなく、
「資金を産み出すものすべて」
と考えるとたくさんの「資産」があることに気づくと思います。

(1)保険で対応できる「資産」

・損害保険
建物や備品、商品など保険をかけることができるものは、しっかりと損害保険に加入して不測の事態に備える必要があります。

災害などにより大事な建物や備品、商品が失われても、保険に加入していれば再起も可能となります。


・生命保険
従業員も大事な「資産」です。
従業員になにかあった場合には、簡単に代替えできるものではありませんが、生命保険などである程度のリスクの軽減が図れます。


このように保険で対応できるものについては、様々な専門家に相談しながらしっかりリスクコントロールしたいものです。
また保険の見直しを行うなど、リスク対策は万全なのか定期的に確認する必要があります。

(2)保険で対応できない「資産」

保険で対応できるものはいいのですが、対応できない「資産」もあります。
会社独自のノウハウ
顧客リスト
機密情報 などです。

こちらについても個別に様々な管理方法がありますが、
バックアップをしっかり行うこと
・セキュリティをかける

など会社としても対策が必要となります。


「資産」を失うことは、会社の経営に直接影響を与えます。

いま一度会社にとっての「資産」をピックアップして、失われるリスクを検討してみてはいかがでしょうか。

経営リスク管理・まとめ

今回は一般的な経営リスクと対策についてご説明してきました。
どう頑張っても想定外の問題や損失は発生してしまいます。
会社が順調な時ほど起こり得るリスクを再確認して、リスクの最小化と防止を徹底していきましょう。