人を採用できる企業の条件とは?

追加で人を採用するときに必ず必要なものがあります。
それは「利益」です。
スタートアップ時の最低人員を除き、一般的には追加で人を採用する前には利益が必要です。
増員さえすれば利益が出るかもという考えは勘違いの場合も多く危険です。
まずは現有勢力で利益が出る仕組みを作ってから追加で人を採用するという考え方が基本です。
ビジネスによって異なりますが、必要最小人員以外は無駄に採用しないことが肝要です。
それでも増員していくべき企業とはどのような企業でしょうか?
それは新しい価値をどんどん作り出していくことができる企業です。
現時点で利益がでていることは当然ですが、今後もそれを拡大していくことができる企業が社員を増員していくことができる企業となります。

人を採用する場合に確認すべき数値と経営指標

一人当たり人件費

こちらは以下の計算式で計算します。

人件費 ÷ 社員数

これにより、1人当たりどのくらい人件費をかけているかがわかります。
業界平均などと比較して低い場合は待遇が良くないということになります。
逆に高い場合は高待遇と判断されます。

追加で人を採用する前に、現社員に対しての待遇を確認する場合、
新たに人を採用するとすればどの程度の予算が必要かなどの判断に使われます。

労働分配率

こちらは以下の算式で計算します。

人件費 ÷ 売上総利益(粗利)

売上総利益(粗利)に対する人件費の占める割合を算出するものです。
業種によりその割合の目安は違いますが、おおむね50%前後が全業種の平均です。


粗利のうち人件費にどれだけ使われているかを示す指標なわけですが、これにより以下のことがわかります。

・会社として提供している価値が高いのか低いのか
・自社の人件費の配分(待遇)は良いのか悪いのか


労働分配率が高過ぎる場合は会社独自の価値が低いことがわかります。
人件費と粗利の差額が大きければ大きいほど会社独自の価値があると判断できます。
ただその理由がサービス残業・著しく低い待遇・単なる人手不足である場合は、人が定着せずに事業の先行きが不安定となります。

労働分配率は会社としての付加価値の大きさや現在の従業員待遇の良し悪しなどの確認ができます。
もし追加で人を採用しようとした場合に労働分配率が業界平均より高いときは、人を採用する前にもっと粗利を増やす努力をすべきということになります。
逆に待遇も良好でありながら、労働分配率が低い場合は人手不足の可能性もあります。その場合は追加で人を採用するための大きな判断材料となります。
高待遇でありながら労働分配率が低いのであれば、優良企業とうことでさらなる人員追加も可能と判断できます。

一人当たり売上高・利益

こちらも業界平均との比較により自社の状況を確認します。
それぞれ売上高・売上総利益・経常利益などを従業員数で割ります。
これにより一人当たりの生産性が判明します。
これらの数値があまり高くないのに追加で人を採用すれば、業績は悪化するのが一般的です。
まず一人当たりの各数値を業界平均以上にしてから人を採用するということを検討するのが基本的な考え方になります。
是非一度「一人当たり売上高」「一人当たり売上総利益」「一人当たり経常利益」などを算出して、業界平均と比較してみていただければと思います。

まとめ

いかがでしょうか?

追加で人を採用する場合にはこれらの各数値を確認して、

・自社の価値(売上や粗利)をさらに上げていくことができるのか
・現状業界平均などと比較して優位性があるのか


を冷静に判定していく必要があります。


まずは追加で人を採用できる数値に会社の経営を持っていき、それから追加で人を採用するのが基本です。
この基本が逆になり先行投資があまり多くなり過ぎると会社を窮地に追い込む可能性が高くなるので注意が必要です。