借金というと一般的に悪いイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
しかし事業をするうえでお金は大事な資源。
その大事な資源であるお金を上手に活用できれば、事業は飛躍的に成長します。
借入金額は経営者のあいだで「年商」「従業員数」「店舗数」などに続いて、相手の規模を知る際のひとつの基準にもなっています。
もちろん大きいだけで自慢はできませんが、「借入=信用」とも言われています。

借入を有効活用する仕組みどのくらい借りるのが適当なのか、一定の判断基準について解説してみたいと思います。

借入は成長の加速装置

事業を営んでいてその事業がきちんと利益の出るものであれば、それを拡大すれば利益も拡大してきます。
そうならないことも多いのですが、理論的には利益の出ている事業を拡大すればその利益も増えていきます。
事業規模の拡大に欠かせないのが資金です。
規模が拡大すればするほど回すお金が大きくなり、営業に必要な在庫や売掛金などが増えていきます。
そしてさらに有利に事業をすすめるために、先行投資をしたり、大きな設備を投資したりするというケースも考えられます。

この場合に必ず必要なのが資金です。

自己資金が豊富であれば、借入をする必要はありませんが、自己資金だけで充分な投資ができない場合は借入を活用することになります。
そして借入を有効活用することにより自己資金だけでは不可能だった規模のビジネスを展開することができるようになり、それが大きな成長へとつながっていきます。

借入限度額の目安

それでは借入限度の目安を確認していきましょう。
もちろんいくら以上したらダメという明確な絶対的基準はありません。
業種によってもその基準は違います。
しかし一定の目安は覚えておいた方がいいと思います。
そこでここではよく用いる二つの目安をお伝えいたします。

平均月商から確認する方法

平均月商を基準に算出する方法です。
一般的には平均月商の3~5か月分程度が安全な借入限度額と言われています。
例えば平均の月商が1,000万円であれば、3,000万円から5,000万円程度。
この範囲内であれば限度額の範囲と判断します。
この基準はあくまでも一つの参考であって、不動産業、旅館業、病院、工場など設備投資が大きな業種はこの基準を大幅に超えてきます。このような場合はあまり平均月商は基準になりません。その場合は基本に忠実に設備投資計画そのものを個別に確認していく必要があります。
このような業種に該当しない場合は、平均月商を一つの目安にしていただければと思います。

利益×年数で確認する方法

一般的に言われている債務償還年数です。
今ある借入金の返済原資は今後の利益です。
稼ぎ出す利益が大きければ大きいほど借入金は返済可能となります。
一般的には年間税引後利益(+減価償却費)×7~8年くらいを一つの目安としています。

年間利益+減価償却費が1,000万円であれば7,000万円~8,000万円程度が借入限度額の目安となります。

5年以内であれば健全、10年を超えてくると注意が必要であると考えるのが一般的です。
利益が返済原資であるという考え方から利益から逆算する方法になります。
この方法で極論を言えば「利益が出せていない企業は借入できない」ということになります。

借入をした後に経営危機に陥らない管理方法

ただいくら借入が有効であり、限度額の範囲内だとしてもやはり借金は借金。
いずれ返す義務があるものであることには違いありません。
これが返済できなくなるとどうなるのか?
極端な話ですが、最終的には破産ということになります。

また借入は「諸刃の剣」。
本来は損できない又は損しなくていい金額の損失を出してしまうことにもなります。
株式投資の信用取引などが良い例ですね。
大きく稼ぐこともできますが、損をすれば自己資金以上の大きな損失となることもあります。

借入したことをキッカケに経営危機に陥らないために確認すべきなのが以下の二つです。

・自社で設定している借入限度額の範囲内か
・借入が有効に活用出来ているのか



そのために、

・売上と利益の推移
・資金繰りの流れは順調か
・計画通り投資が機能しているか


などを定期的に時系列で把握していく必要があります。
定期的に時系列で「売上・利益・資金」の推移を確認することが、経営危機に陥らない最も基本的な対策です。
せっかく借入をして資金を調達したのにそれが有効活用されていなければ、利益や資金は増えずに逆に減ってしまいます。
そのようなことが起きていないか早めに気づくことができる体制構築が必要です。
問題に気づくことができれば、あとはその問題を丁寧に一つ一つ解決していくことになります。

素早く問題を把握することで、危機を回避できる可能性は高まります。

わたしたちも関与先企業が危機的な状況に陥らないように、この目線で借入金額と経営数値の推移を常に見守っていきたいと思っております。