コロナ禍の巣ごもり需要で「ふるさと納税」を利用する人が増えているようです。

総務省の現況調査では、令和2年度の受入額は前年比1.4倍、件数も1.3倍へと増加しています。

「ふるさと納税」を実際にしたことがある方もいらっしゃれば、
気になってはいるが、まだしたことは無いという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

令和3年度「ふるさと納税」の申告から手続きが簡素化される変更もあります。

そこで今回は年末も近づいてきましたので、
まだ余裕があるうちに「ふるさと納税」の具体的内容・メリット・手続きの注意点などについて確認しておきたいと思います。

「ふるさと納税」とは

「ふるさと納税」というのは、

個人が地方自治体に寄付をすると、その寄付金に相当する税金が控除される

という制度です。

この仕組みの総称を「ふるさと納税」と呼んでいます。

ではその仕組みのなにがそんなにお得なのでしょうか?

「ふるさと納税」の仕組み

それは寄付をすると自治体から返礼品がもらえるところにあります。

「ふるさと納税」の仕組みを簡単にまとめますと以下の通りとなります。

(1)地方自治体に寄付をする
(2)寄附金控除により寄付金とほぼ同額の税金が控除される
 
 (2,000円差し引いた金額となり、所得などに応じて上限あり)
(3)寄付金に応じた返礼品がもらえる

つまり上限をきちんと計算して寄付をすれば、2,000円の負担で様々な返礼品がもらえることになります。

ほとんどただで獲得できるということですね。

返礼品

自治体によって返戻品は様々ですが、

高級なお肉、美味しい日本酒などの特産品から、高額な伝統工芸品から生活雑貨、ホテルの宿泊券など

実にたくさんの種類の返礼品が用意されています。

返礼品は金額・種類などが豊富なので、一覧できるサイトなどを利用すると良いと思います。
ショッピング感覚でたまにサイトを覗いてみるのも楽しいかもしれません。


「ふるさと納税」は返礼品が一番の楽しみですが、他にも良いところはあります。

税金の使途を選べる

「ふるさと納税」は、多くの自治体で税金の使い道を自分で選ぶことができます。

具体的には、健康・福祉、スポーツ・文化振興、子育てや災害支援・復興など、自分の納税したい事業に納税できるメリットがあります。

寄付後も、寄付者へ事業の進捗状況・成果を報告している自治体もあるようなので、自分の納税によってどのような成果が出たのか知ることもできます。

また、一部でクラウドファンディング型「ふるさと納税」をしている自治体もあり、より具体的な共感するプロジェクトへ寄付することもできるようになっているようです。

「ふるさと納税」で注意するポイント

お得に返礼品を獲得できる「ふるさと納税」ですが、注意するポイントが何点かあります。

1・寄付金控除に上限がある
2・あまり高額な返礼品をもらうとそれに税金がかかる可能性がある
3・資金を一時的に支出しなければならない
4・証明書をしっかり入手して確定申告などの手続きをしなければならない

1・寄付金控除の上限

まず初めの上限ですが、これは寄付をした人の収入や家族構成などによって違いが生じます。
今年の収入の予測や住宅ローン控除の有無なども考慮して上限額を把握しておく必要があります。

「ふるさと納税」サイトなどでご確認いただくか、弊所担当者までお問い合わせください。

2・高額の返礼品

次に、返礼品が高額な場合には、それに税金が課税されるという話があります。

具体的にそれで追徴されたという話はまだ聞いたことがないのですが、法律上は課税されるようです。

高額の返礼品を取得した方は、一応ご相談ください。

3・資金を一時的に支出

寄付をしてから実際に税金が控除されるまでには時間がかかります。
どうしても一時的に資金を支出することになります。

こちらも高額な寄付の場合は注意が必要かもしれません。

4・確定申告などの手続き

最後に手続きですが、これは特に重要です。

手続きをしなければ、ただ寄付をして返礼品をもらうだけとなってしまいます。
もちろんそれが本来の趣旨なのかもしれませんが、「ふるさと納税」のお得感は無くなります。

具体的な手続きは基本的には確定申告をすることになるので少し面倒です。
(確定申告せずに別途簡易的に手続きする方法もあり)
忙しい経営者の方やその手間が負担に感じる方は最初から利用しない方が良さそうです。

確定申告を弊所に依頼されている方は、
地方自治体から送付される「寄付金の受領書」をこちらにいただければ手続き完了となります。

この「寄付金の受領書」について、令和3年分の申告から手続きが簡単になる変更がありました。

令和3年分から「ふるさと納税」申告が簡素化

令和3年分の確定申告から、寄付ごとの「寄付金の受領書」に代えて、特定事業者(ふるさと納税サイト)が発行する年間寄付額を記載した「寄付金控除に関する証明書」を添付することができるようになりまた。

今まで、確定申告するには寄付ごとに自治体から発行される「寄付金の受領書」が必要でした。
複数回寄付された方は何枚かの紙を申告まで保管しなければならず、無くした場合の再発行の手間もかかっていたかと思います。

「寄付金控除に関する証明書」とは

国税庁長官より指定された特定事業者(ふるさと納税サイト)が発行する、年間の寄付額を記載した証明書です。

特定事業者(ふるさと納税サイト)は国税庁のサイトで確認することができます。

ただし、「ふるさと納税」に複数のサイトを活用していた場合には、それぞれの特定事業者(ふるさと納税サイト)ごとの証明書が必要になりますのでご注意ください。

「寄付金控除に関する証明書」で確定申告するには

年間の寄付額が記載された「寄付金控除に関する証明書」(電子データ)をe-Taxで確定申告書に添付し送信すれば、すべてオンラインで申告を完結することができます。

また、特定事業者(ふるさと納税サイト)が発行した証明書を国税庁のQRコード付証明書等作成システムで読み込みプリントアウトして添付することも可能です。

「寄付金控除に関する証明書」は基本的には電子データですが、特定事業者(ふるさと納税サイト)によっては、証明書を紙で発行してくれるところもあるようです。

「寄付金控除に関する証明書」一枚で済ますことができるようになったわけですが、今まで通り、寄付ごとに自治体から発行される「寄付金の受領書」を添付することも可能です。
利用しやすい方を選択されると良いでしょう。

ワンストップ特例制度

確定申告をしないで「ふるさと納税」する簡易的な方法「ワンストップ特例制度」を簡単にご説明します。

ワンストップ特例制度」

ふるさと納税以外の理由で確定申告をする必要がない方
寄付した自治体が5自治体以内の方

が対象の制度となります。

確定申告は不要ですが、寄付した後にマイナンバーカードの写しなどの申請書類を各自治体へ送付する手間は必要となります。

寄付する自治体が複数あり、申請書を出す手間がかかりそうな場合などは、今年度から適用される年間寄付額が記載された「寄付金控除に関する証明書」を使用して確定申告する方法が簡単という場合もあるかもしれません。

「ふるさと納税」をする前に確認する事

・名義を確認する

寄付の名義確定申告をする人の名義が違う場合は寄付金控除を受けられないので、ご家族で「ふるさと納税」を利用している場合などは注意が必要です。

また、クレジットカード決済で寄付を行う場合も名義が申告する人と同じか確認して利用しましょう。


・偽サイトにご注意ください

そして、「ふるさと納税」の普及とともに偽サイトも増えているようです。
寄付する際は、自治体のホームページでも事前に確認するなどした方が良いかもしれません。

「ふるさと納税」まとめ

以上のような注意点はあるものの、様々な返礼品を獲得できる「ふるさと納税」制度。
年末までに好みの返礼品を探してみてはいかがでしょうか?