今回の新型コロナ騒動では、多くの企業が莫大な損失を計上しています。
特に観光業や飲食業の業績の落ち込みは大変なもので、立ち直れない企業も多くなってきているようです。
そんな中このような業種でも大損失や深刻な事態には至らずに、若干の影響で済んでいる企業があります。
それが「不況抵抗力」の強い企業です。
今回は「不況抵抗力」についてお伝えしてみたいと思います。

「不況抵抗力」が高い会社の特徴

どのような企業が「不況抵抗力」を有している企業なのでしょうか?
その具体的な特徴は以下の3点です。

1・現金預金が豊富

これは財務内容や経営成績とは基本的に関係ありません。
一般的には財務内容や経営成績の良好な会社が現金預金が豊富になる可能性は高いのですが、例えそうでなかったとしても何らかの理由で現金預金が豊富であれば、すぐに会社がつぶれることはありません。

会社がつぶれるのは現金預金が尽きた時です。

普段からぎりぎりで資金繰りを回していて、ちょっとでも予定が狂ったら資金ショートというのでは目も当てられません。
そうならないように上手に資金調達をして、現金預金の残高にある程度余裕を持たせておくことはとても大事なことです。
現金預金を多く保てる方法を用意しているかどうかが大きな差になります。
どのような手段でもいいので、いざという時に現金預金を多く保つことができる方法を用意しておきましょう。
それが結果的に「不況抵抗力」につながります。

2・自己資本比率が高い

自己資本比率の算式は以下の通りです。

自己資本比率 
= 純資産 ÷ 総資産 × 100

総資産にしめる純資産(自己資本)の割合が高ければ高いほど、その会社の安全性は高くなります。このような有事の際にも盤石な基盤があるので少々苦しい状況が続いても乗り越えることができます。
ただこの自己資本比率は短期的にどんどん上げていくのは難しく、長年の積み重ねの結果という側面が強い数値になります。
また成長企業などはどうしても融資などの他人資本を上手に調達しながら成長していくので、純資産はどんどん増えてはいるもののこの自己資本比率自体は上がらないこともあります。
このような場合まで自己資本比率を無理して上げる必要はありませんが、自己資本比率が高ければ、とても経営が安定します。
そして銀行などからの社会的評価も上がります。

日ごろから自己資本比率を上げていく経営努力は忘れないでいただきたいものです。
そしてその経営努力が結果的に「不況抵抗力」につながります。

3・損益分岐点売上高(B・E・P)が低い

損益分岐点売上高、英語ではブレイク・イーブン・ポイント(B・E・P)と呼ばれています。
これは損益がプラスマイナスゼロになるために必要な売上高です。
損益分岐点売上高を計算するためには「変動損益計算書」という通常の損益計算書とは少し異なるものを使います。
詳しくはこちらをご覧ください。
「経営改善と分析に役立つ変動損益計算書の基本」


この損益分岐点売上高が低ければ低いほど経営の危険度は下がり、安全度は増します。
逆に高くなればなるほど経営の危険度は増し、安全度は下がります。

損益分岐点売上高を達成できない=損失を出すこと 

になることから、なるべく低くしておくことが重要です。

ではどのようにすれば損益分岐点売上高は下がるのでしょうか?

損益分岐点売上高を下げるためには二つの方法があります。

「限界利益率を高くすること」「固定費を下げること」です。

必要な経費は惜しみなく使わなければ売上を増やしていくことはできません。
しかしただやみくもに使えばいいというわけではなく、効率的に利益が出る使い方を常に心がける必要があります。
それにより限界利益率は向上し、固定費は少なく抑えることができるようになります。
常にここに着目して経営することが結果的に「不況抵抗力」を向上させます。

「不況抵抗力」のまとめ

いかがでしょうか?
聞いてみると普通のことだったなと思われるかもしれません。
そうなんです。
この日ごろから心がけるべき普通のことが、このような有事の際にも有効なのです。
是非普段からこのあたりに注目しながら、力強い「不況抵抗力」を身につけていただければと思います。
そのために我々も全力でサポートさせていただきます。